buncho

昔、父が突然「文鳥買うか」と言ってきたことがありました。どうしてそんな話になったのか、いまだに訳が分からない出来事の一つです。

我が家は兄に犬猫アレルギーがあり(体質が変わったのか今は犬を飼っていますが)、幼い頃からペットというべきペットを飼ったことがありませんでした。縁日の金魚とか、ホームセンターのスズムシとかカブトムシとか、それが私の知りうるペットで、玄関の置物と大差ないものでした。

とはいえテレビや幼稚園で学んでくることは多く、私も犬猫を愛でる文化を知らないわけではありませんでした。ままごとか何かでぬいぐるみの首に紐を結んでいる私を目にしたのでしょう、この子にもペットを与える必要があると考えた父は、ある日何の脈絡もなく「遠慮しなくていいぞ」と変な気まで遣って私に文鳥を薦めたのでした。

父にしてみれば情操教育の一環という思いもあったでしょうし、歳の離れた兄妹を不憫に思った部分も少なからずあったのだと思います。もし文鳥がいれば娘が喜ぶだろう、心豊かな子どもに育つなら飼育の費用も手間も勉強代として結構ではないか、毎日娘が文鳥を手に乗せて戯れる姿さえ想像したのかもしれませんでした。

私はといえば、そもそも「ブンチョウ」がどういう生き物かよく分かっていなかった気がします。ペットの不在にさして寂しさや物足りなさを感じていたわけでもなく、一人ままごとで想像を膨らませるのもそれなりに楽しかったので「んー」と曖昧な返事をするに留まり、文鳥の話は立ち消えになりました。父が少し寂しそうな顔をして、「なんでだよ」と幼心に思った記憶が妙にはっきりと残っています。

“buncho” への 2 件のフィードバック

  1. 兄ゎ犬猫アレルギー違う。猫だけね。そこ大事なとこ…(笑)母いゎく犬ゎ昔飼ってたが病気で死んでしまったので可哀想だから飼わないと言ってた。

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