私の家は新興住宅地のど真ん中にあって、家々が碁盤の目のように並んでいました。毎朝、私が学校に行くときは母が家の前に立ち、ひとつめの角を曲がるまでずっと見ていてくれました。
小学校に上がりたての頃は50mばかりの道を何度も何度も立ち止まり母に手を振っていましたが、5回が4回になり、4回が3回になり、ついには角を曲がるときに1度だけ手を振るようになりました。
もちろんけんかをする日もあって、私は手も振らずに角を曲がりましたが、そんな朝も母は家の前に立っていました。
晴れの日も、雨の日も、私が中学生になっても、高校生になっても。母は私の背中が見えなくなるまで表に立っていました。
別れ際、改札口で私の姿が見えなくなるまで立っている友達を見て、ふとあの朝の日課を思い出しました。
