仕事の相談があるということで、高校時代の先輩と久しぶりに会いました。
何の付き合いだったでしょうか、文化祭委員だったかしら。学年も部活も違うのにかわいがってくれる先輩が大好きで、よく放課後につるんでいました。先輩は「干支がひと回りしちゃったね」と言いました。それでも覚えてくれていたのは私にとってとてもうれしいことでした。
学習塾に就職したはずの先輩はいつの間にか同業者になっていて、Webサイトの構築や運用にまつわる話を首尾よくトントンと聞かせてくれました。愛想の良さと頭の回転の速さは相変わらずで、仕事の話なのにストレスのない会話はとても心地良いものでした。
仕事の話も早々に、会わなかった12年間の話をしました。当時の仲間の現況や街の様子、当時よく聴いていた音楽、最近会う同窓生、など。先生方の名前を挙げてみようとしましたが思うように出てきませんでした。
帰り際、近々子どもが生まれることを教えてくれました。奥さんは高校時代に付き合っていたあの子とは別の人で、落ち着きがあって趣味の合う人なのだと言いました。先輩のように人当たりの良い、ユーモアのある子に育つのだろうと思いました。
仕事の話は進展があったらまた連絡するよ、と先輩が言って改札で手を振りました。地下鉄の降り口に掲げられた「海抜2.2m」の表示に、私たちが育った海近くの街を思いました。
「もう30ですから」と先輩は言いました。高校卒業からの年月は思いの外長いのだ、と目の覚めるような思いでした。
