かばん

出掛けるのに荷物をまとめる前、かばんのポケットの中身を一度全部出して一つずつ入れ直すことから始めるのは、私だけの習慣だろうか。

財布やら名刺やら、当然入れておくべきものも一度出す。何かのシールの剥離紙も、喫茶店のお手拭きも、財布と分別なく一度同じ山に出す。それから、持って行くものと置いて行くもの、その場で捨てるもので行き先を振り分ける。右へ左へ揺られてごちゃついたかばんの中を整理し、不要なものを減らして、少しでも荷物をすっきりさせて出掛けると気分も良い。

財布はもちろん入れる。手ぬぐいも。名刺入れ、ポイントカード、フリスク、ハンドクリーム、エコバッグ、印鑑。印鑑は要るときだけ持ち歩けばよさそうなものだけれど、そう言って持ち出さない日は大抵印鑑を使うので、100円で買った印鑑は常備しておく。仕事場の鍵も、都度出し入れをしていると肝心の出勤時に忘れるに決まっている。当然、常備する。

黒猫の箸置きは何にも使わないけれど、30歳近く離れた友人からのプレゼント。先日まで一緒に暮らしていたモモによく似ているので、手元に置いておきたくてかばんに入れている。これ1つ減らしたところで荷物の量は変わらない。

化粧ポーチ、パソコン、電源ケーブル、手帳、文具。ポケットWi-Fiも忘れない。文具は赤と黒のボールペン、水性と油性のサインペン、のり、定規、一筆箋。クリップも5、6個しのばせていたが、どこかで使い切ってしまったので今度足さなくては。カッターとはさみも持っていたが、いつだったか飛行機に乗る前に没収された。最近は使う機会がほとんどなくなったので買い直すことなくそのまま。電源ケーブルはUSB-AとUSB-CとLightningとハブ。USBメモリとコネクタもあるか。単4電池とICレコーダーもある。

ひととおり詰めると、やはりリュックサックはそれなりに膨れる。パンパンではないけれど、リュックサックぐらいの容量はないと収まらない。

あの、中で手が開けるかどうかぐらいの大きさの肩掛けだけを持って出掛ける人はどこへ出掛けるのだろうか。家から半径300mぐらいまでしか行けない装備、丸腰も同然じゃないか。あれじゃあ財布すら収まらない。一体どこへ行くための格好なんだ。

ぶつぶつ言いながら、ペットボトルのお茶をさらに詰め込み「よいしょ」と声を上げて荷物を背負い上げる。可愛く荷物を持って出掛けることができない。しかし整理した分だけ、気持ちの重さは軽くなる。

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