なるほど

ひと仕事片付けてTwitterを開くと、「これから『スタンド・バイ・ミー』を見て、夕方になったらスイカバーと線香花火を買いに行く」という人がいた。日々のツイートがなんともちょうど良くて最近フォローした、知らない人。こういう不用意なことができるからインターネットは面白い。

顔も暮らしぶりも知らないけれど、さすが今日も「ちょうど良」いことを言う。まだ別の仕事もあるにはあったけれど、便乗してみることにした。

『スタンド・バイ・ミー』は誰もが主題歌を口ずさめる不朽の名作。でも作品とほぼ同世代の私は恥ずかしながら内容を知らなかった。主題歌の他に知っているのは死体を見に行く話だということ、主役が夭折しているらしいこと、線路を歩くと「『スタンド・バイ・ミー』かよ」とツッコまれることぐらいだった。

誰もが知る不朽の名作についてのあらすじは割愛するとして。良いよね、あるよねこういうこと。もう戻らない日々も、幼い日の無茶な冒険も、いくら強い絆を信じていても別れには気付いている瞬間も。

本当は思ってる

二度と戻れない美しい日にいると

そして静かに心は離れていくと

小沢健二「さよならなんて云えないよ」

ああ、これ、あれか。小沢健二が言っていたのはこういうことか。気に入って暢気に口ずさんでいたあの歌の意味が、『スタンド・バイ・ミー』を経て、手に取るように分かってしまった。それこそがつまりはもうあの頃に戻れないこと、大人になってしまったことを証明している。そうか、なるほどね、ああ……反芻すればするほど言葉に詰まる。

映画を観ている間にずいぶん日も暮れた。そうだ、夕飯の支度をする前にもう一つのミッションをしないと。けれど、近くのドラッグストアにスイカバーは売っていなかった。エクレアと蚊取線香を買って、川をちょっと見て帰った。

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