
ベッドの擦れる音がすると、私が起きたと思ってモモがごはんの催促をし始める。昨夜やったパウチの残りを皿に開けると、脇目も振らずにかぶりつく。
雨が降っている。庭の木々から雨粒がしたたり、コンクリートが色を濃くする。虫や鳥は鳴き声を潜め、飛行機の音はいつもよりよく響く。
家主がマッシュパンプキンを作ってくれた。味付けはほとんどなく、レーズンの酸味が軽いアクセントになっている。
ひとさじ口に入れ、かぼちゃの匂いが鼻に抜けると、ふかし芋をよく食べていた幼少期を思い出す。朝食に、デザートに、おやつに、よく食べていた。母が私の「おつうじ」の悪さを気にして用意してくれていた。家庭菜園にサツマイモを植えたこともあったな。サツマイモの汁は真っ白くて、手に付くと簡単には落ちない。生のサツマイモは少し甘くてシャキシャキしているけれど、渋みのようなものがあって、あまり食べられたものではない。そういうことを思い出す。
日曜だというのに珍しく朝からテキパキと動いている家主は、葬儀に出掛けると言って家を出ていった。そう言われると、この雨も何だかそういうもののように見えてくる。勝手なものだ。
私も早く出るはずだったけれど、少し気を落ち着かせてコーヒーを飲む。
時計の針の音、遠くの車の音。大きな窓、うっすらと差し込む自然光、テレビ台の裏に落ちる影。部屋の灯りはつけない。
何となく沈んだ気持ち。でも少し沈んだぐらいのほうが揺るがず据わりが良くて楽だと思う。
上がったはずの雨がまた落ち始めた。そろそろ身支度をするか。コーヒーを飲み干す。