去年と今年と来年

積極的に応援しているわけではないけれど、バカリズムの年に一度の単独ライブにはほぼ毎年行っている。

お笑いなんて今やテレビでいくらでも観られるけれど、バカリズムライブは安くないチケットの争奪戦をしてでも選ぶ理由があるなあ、と実感する。何せ打率が完全に違う。大振りのスラッガーは他にもいるけれど、ホームラン以外ももれなくヒットで出塁する。点に繋がらない打席がない試合なんて、観たいに決まっている。

バカリズムライブは年に一度だから、その年ごとの違いがよく表れる。やたら悪態をつく年や、やたら下ネタに走る年も過去にはあった。仕事が忙しいのだろう、嫌なことがあったのだろう、と升野英知の一年がそのまま投影されているようで、その点も興味深い。

今年最後のネタは、死期迫る老人が病院で人生を振り返るというものだった。冴えない人生には早々に見切りをつけて徳を積むことに専念し、来世に賭けようと妄想を繰り広げる。いよいよ最期、という瞬間、来世で使いまくるつもりだった徳が思わぬ形で返ってきてしまう……というもの。

升野さんも40歳を過ぎて何か人生に思うところがあるのだろうか。コンビでネタをやっていた頃、期せずしてピンになり、フリップネタでブレイクした頃、テレビタレントとしてバラエティー番組に出始めた頃、脚本や小説に注目が集まった頃。升野さんも、それを見ていた私も、すっかり歳をとってしまった。毎年恒例のこのライブは定点観測の向きもあるのかもしれない。お互いにとって。

最後のセリフ「ここ!」はこのネタの天丼なのだけれど、とても愛らしいオチで、少し泣いた。笑いに来ているのに、泣かされたのはたぶん初めてだと思う。来年はどんなネタを見て、どんな気持ちで帰るだろうか。

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