冬にくすんだ色の服を着るのが嫌いだ。放っておいても街は黒いコートやジャケットで溢れる。寒さで表情がこわばる。Instagramにはモノトーンのフィルターを被せたくなるし、世の中に楽しいことなんて何ひとつないんじゃないかって気分にさせられる。
私は赤いコートや青い靴、緑の帽子を身につけて僅かばかりの抵抗をする。そうでもしないと冬に圧し潰されそうな気がしてくるからだ。逆に色鮮やかなものを身につけると、背筋が伸びるというか、気持ちにハリが出る気がする。
身にまとう色を気にするようになったのはいつからだろう。私が新卒で入った会社はデザイン系の会社だったからスーツを着る必要がなく、むしろ「服はセルフブランディングだ」と叩き込まれた。転職して自分の居場所を確保する必要が出てきてからは戦隊モノのようにイメージカラーを作ったし、独立した今は同業者の服装にいちいち目が行くようになった。
名は体を表すと言うけれど、色は気持ちと連動しているように思う。色は気を表す、とでも言おうか。
気が回っていないときほどどうでもいい格好をするし、服の色はくすんでくる。今日もグレーのセーターにジーンズ、グレーのコートを着ている。それでは冬に圧し潰されても致し方ない。冬に圧し潰されて、冴えないテンションの週末を過ごしている。ひとりで生活している以上、圧は自分で押し返さないといけない。楽しいことは自分で作らないとやってこない。
週末にはカラフルな眼鏡ケースでも探してこようかと思っている。