
最近よく行くファミレスで夜中まで資料作成をして、帰る。西の空を見上げるとそれは見事な三日月が空に浮かんでいる……と思ったら急に姿を消した。ビルの影に隠れたかな、と姿勢を変えてキョロキョロするが見つからない。それは西の空に伸びるビルの窓に映った東の空の月だった。東の空には本物の三日月がしれっと昇っている。あんなにも美しく映るものなのか。灯りのない、真夜中の景色。
仕事にはケリがついて肩の荷が下りた気分だけれど、気持ち良さも喜びもこれといって感じられない。頭は冴えて、しかし浮かべるものはなく、虚無感をただただ味わうしかできない午前3時。自販機でコーラを買って家に帰る。350mlのコーラは110円だが、500mlのコーラは100円で買える。
携帯に通知が出る。緊急速報、北海道で震度6の大地震だという。正直、震度6という語感にも慣れてしまった。私にはもう事の重大さが分からない。どれぐらい心配をすればいいのか、もはや想像もつかなくなってしまった。
西では台風で屋根が飛び、北では地震で山が崩れる。Twitterを見れば、命こそ無事ながらいずれの地でも友人たちが停電で困っている。私が今すぐ我が家に呼び寄せられるわけでも、私が今すぐ電気を起こせるわけでもない。「大丈夫?」と祈りを投げかけても言葉は無力だ、苛立ちが募る。
明け方までなんとなくコーラを飲んで、YouTubeでキセルのMVを見て、いつものような感じで寝た。同業の集まりで無下に扱われる夢を見たけれど、とりわけ悲しくもなかった。
日も高く昇った頃に母からの電話で目を覚まし、仕事があるから今日は実家に帰れないと謝った。テーブルの上に残っていたコーラを飲み干し、災害情報しか流さないテレビを無心で聞き流しながら資料の手直しをしている。
あれ、おかしい。コーラを飲んでいる間はやり過ごせていたけれど、今はもう飲みきってしまった。今さら不安がこみ上げる。