勤めている串揚げ屋の女将さんに『サッカー、観なかった感じすか』と聞かれて「そうっ、すねえ、そっすねえ、観なかったっすねえ」と答えた。
『え、オリンピックとかも観ない派?』「あー、観ないかも」『まじすか!観ないんだ!』「だってその時だけ観ても乗れないし。名前とか覚えられないですもん」『あー……』
会話が終わってしまった。ごめん、女将さん(女将さんは私より2歳若い)。
時代に適当に乗るのがとても苦手だ。重く捉えず、何となくスター選手だけ覚えて右に倣えで応援すればいいのに、それがなかなかできない。なまじ本気で応援しようとして、覚えるべきことの多さに愕然とする。ヒートアップに時間がかかる元来の鈍臭さと、流行に乗ろうともがいている自分が恥ずかしいという変なプライドで、結局は「私、そういうのいいんで!」といった僻みのような突き放し方をしてしまう。ダサい。全体的にダサい自覚はあるけれど、私は特にそういう性格の面が飛び抜けてダサい。
女将さんはそういうのも器用にこなせそうだなあ、と、女将さんに羨望の眼差しを送る。彼女はもうさっきの会話など早々に見切りをつけて串の仕込みをこなしている。よそ見をしている間に、私は揚げ物を1個こぼしてしまった。やべ。
サッカー、好きだけど鹿島の選手以外は日本に帰ればみんな敵だし、素直に応援できないんだよなあ……などと面倒なことを言っているうちはダサさを脱出できないだろう。女将さんのようにはなれないし、オリンピックも観ないし、揚げ物は1個こぼす。今度から1個多めに揚げておいたほうがいいかもしれない。