震える肩

アラームも鳴ったことだしそろそろ起きるか、シャワーを浴びようじゃないか、と思ったちょうどそのときに緊急地震速報のチャイムが鳴った。数日前には群馬で震度5弱の地震があったばかりだが、今度は大阪で震度6だという。じっと身構えてニュースに耳を傾けながら、布団の中で携帯を操作する。Twitterでは世間の状況を把握する前の友人が強い揺れにただただ驚きながらおちゃらけたツイートをするのが流れていた。

時間が経つにつれ、状況が明らかになっていく。コンビニや書店は陳列棚の商品が通路にぶちまけられている。都市ガスは止まった。スーパーの水のコーナーは買い占めでからっぽだ。大阪を走るすべての電車が止まり、地下鉄に至っては駅に入っちゃいけないことになっているという。ライブハウスは「電車も止まってるしとりあえず安全第一で」というふんわりした理由でイベントを中止した。Twitterには「大丈夫ですか」「無事です」という点呼のような投稿や「慌てないで落ち着いて」「無事を祈ります」という無力で優しい言葉が飛び交っていた。

私は、輪に入れずにいた。何を言えばいいか分からなかった。パニックを起こす一歩手前のようなところでぐらぐらしていることを自覚して、タイムラインから意識的に距離を置いた。あのときと似ている、と感じたからだ。

あの日。最初は状況が読めなかったけれど、家に帰ってテレビをつけたらどえらい大きさの真っ黒い津波が繰り返し映されていた。死傷者よりも行方不明者が多くて、それは死傷者以上に悲しみとの距離が近いものだと本能的に理解した。

ここ20年で起きた東西の大震災に比べれば死傷者の数は格段に少ないが、今の時点で3人が亡くなっている。「大事に至らなくてよかった」と言いそうになる口をつぐむ。

小さな不安こそタチが悪い。小さな不安はなかったことにされるけれど、何も手を施さなければどこへも行かない、行けない。7年経ってもだ。

来週、ツアーで大阪へ行く。友人たちはどうしているだろうか。笑いながら迎えてくれるのだろうが、その肩が震えていないことを切に願う。し、震える肩を無理に隠さないでいてほしい。

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