ざこ寝の記憶をときどき思い出す。大抵そんなのは宴が過ぎて泥酔した夜と相場が決まっていて、明け方の薄明るくなってきた頃にたった一人目を覚ますのだった。
しようと思ってもできない早起き。こういう時に限っては二度寝をしようという気にもならないほどシャッキリ目覚める。ひとり静かに目をパチクリさせながら天井を見つめる。はて、私は何をしていたんだっけ。
部屋の電気は消えているけれど、東向きの窓から光が射し込んでくる。気の早い鳥が電線に止まって鳴いている。それを、カーテンの閉まった薄暗い部屋の奥で聞いている。
眠っている人を見る。寝相がすごいので布団をかけ直してみたり、さっきまであんなに騒いでいたのに静かなものだなあと感心してみたりする。耳を澄まして寝息を聞いてみると、普段の呼吸との違いに気がつく。面白い。こんなことも本人は知らないのだろう。
夜と朝の間にだけ存在する、生温かい孤独。すべての世界からこの一部屋だけ遮断されたような感覚に陥る。唯一のノイズである寝返りを打つ衣擦れの音が、通勤ラッシュの電車とはまったく別の世界線を示している。携帯を見るも、タイムラインは何度リロードしたって新しい投稿を見せてくれない。それでも誰かに会えないかと期待して、繰り返しリロードを押す。繰り返し。
気がつくと眠っていた。周りでカサカサと音がして、何人かがもう起き始めているのだと気付かされる。孤独な時間はもうそこにはない。私はあたかも今はじめて目を覚ましたかのように眠たいそぶりを見せ、朝に合流する。