庭園を見渡すと、各ベンチに一人ずつ人がいる。暇を持て余す老人かというとそうでもなさそうで、遠巻きに見てどうやら30〜40代の壮年といった印象を受ける。何かを飲み食いしている人と、本か何かを開いている人、あと携帯をいじっている人。最後のは私。
連れ合いはなく、みな一人で座っているが心細さは感じられない。放っておいてほしいとでも言いたそうな、むしろ言い返す気もなさそうなほど個々の世界に入っている。
池には亀が泳いでいる。いつも我が物顔で泳ぎ回る鯉が今日は少ない。客の入りが少ないのを知っているのか。
生垣の向こうにはいくつかのマンションが見える。遠くから車の往来する音が聞こえる。姿は見えない。
鳥の声、魚が身を翻す音、人が歩く砂利の音。虫の声が重なるのが秋の訪れを感じさせる。
雨が落ちてきたら庭園を出よう、そう決めてみたものの、一向に雨は降らない。感傷に浸るには寒さが足りない。
低気圧のせいか今日は朝から随分眠たい。このベンチで横になりたい気持ちをぐっと堪え、仕事に戻る。13時になった。
