遠くに行くと私は必ず実家に手紙を送る。お土産を送ることもあるけれど、海外から物を送るのはなんだか面倒そうだからまだやったことがない。
郵便局に入り、一番手前の係員さんに「エアメールを送りたい、まだ書いてないので今ここで書く」とごねてみると、A4の紙と封筒を渡してくれた。居合わせたお客さんのサポートを受け、筆談も交えながら何とか発送に成功。面倒くさそうにしていた係員さんも、手を合わせると「良かったね」と言うように微笑んでくれた。
屋台で「私も何か食べたい」とおばちゃんに言うと麺を見せてきた。それでいい、と頼み出てきた麺のおいしいことおいしいこと。がんばってわがままを言ってよかった。手を合わせて帰る。
台北に行ったときもそうだった。初めはまごまごしてばかりだったけれど、だんだん平気で「コップンカー」と言えるようになった。何かにつけて口をついて出る。最初に覚えるのは感謝の言葉なのだなあ。必要だからだろうな。
ムエタイも見てみたかったけれど、入場料が高そうだったのでサッカーに変更。何となく、タイといえばサッカーかなと思って。試合はといえばキックオフから劣勢で、ロスタイムにまでとどめを刺されて0-3で完敗。助っ人外国人と思われる選手が軒並み棒立ちで、そりゃあ負けるわ、と思った。おもしろかった。
バンコクは水運が発達していて、渡船が普通に使われている。とても安く、また川が好きな私には願ってもない眺めだったので何度も乗った。渡船場では猫を飼っていたのだけれど、カゴの中の猫はうだるような暑さにうんざりしてもっぱら寝ていた。こんなにだらしのない猫は初めて見た。
犬はといえば、件のサッカースタジアムで試合中のフィールドに乗り込んできてひょこひょこ楽しそうに走り回っていた。ひとしきり走って疲れたのか、突然座り込んだところを係員に捕まって連れ出されていた。
チェックアウトしたのにうっかり鍵を持ってきてしまったので慌てて返しに行く。帰りにGuangには会えなかったけれど、どこかへ出掛ようとしているママに会うことができた。よく眠れたか、食事は口に合うか、飲料水は足りているかと気にかけてくれたママ。また会いに来るね、と抱き合って別れた。
たった数日で、バンコクは私の大切な街になった。きっとまた来よう。来る。
