
「ちがういみだった!!!!!」
子どもが絶叫して泣いていました。お父さんが「どれと意味が違ったの」と聞くと「さっきの!!!」と言うばかりで言葉が続きません。お父さんは困り果てているようでした。
分かる分かる、私も気持ちばかりが先に立ってうまく言葉が出てこない子どもでした。はっきりとは覚えていませんが、私もまったく同じ場面を体験したことがある気がします。さっき私が言ったことは全然そんな意味じゃなかった、むしろ私は真逆のことを言っていたんだ。通じていたと思ったのにどうして分かってくれないんだ、分かったような顔をしてなぜ意に反することを推し進めようとするんだ。そもそも何について反論しているのかも分かっていないとはどういうことだ、君は私をばかにしているのか。なぜ君なんかのためにわざわざ言葉を尽くし懇切丁寧に説明してやらなくてはいけないんだ。だいたいそういうことを思っていました。あの子も大差なくそのようなことを考えているに違いありません。
気持ちが伝わらないのは本当にもどかしいことです。言っても伝わらないならもうこの人とは永遠に相容れないのではないかとさえ感じます。
でも、泣いて怒り狂うほど誰かに想いを伝えたいことなんか今の私にあるだろうか、と思いました。いつからだろう。昔はあの子のようによく泣いていたはずなのに。それは言葉を覚えたせいか、諦めを覚えたせいなのか。意識もせず大人になってしまった私には、皆目見当もつきませんでした。