バラと朝


「……行っちゃいましたね」

『運転手さんによって対応がまちまちなのよね』 

「乗せてくれるかと思いましたよね」

『後ろに回ってもらえますかー、って言ってたけど、誰に言ってるのか分からなかったわよね、車内なのか何なのか』

「何なら出口から乗れそうでしたけどね」

『本当よ』『いつもこんなに混むのかねえ、私いつもはもっと遅い時間に乗るから』

「私もなんですよ、今日雨だからですかね」

『ねえ、9時頃はもっと空いてるから』

「そうですよね」

『晴れてたら歩いてもいいんだけど、これじゃあねえ、濡れちゃうから』

「そうですねえ」

いつもより早く目が覚めたのでいつもより早く家を出てみましたが、都電も地下鉄もたいへんに混んでいて、思ったほど早くは着きませんでした。電停で朝から知らないおばさんと話をする余裕ぐらいはありましたが、いかんせん傘の骨がぽきりと折れてしまって、雨の落ちる様を力なく眺めるほかありませんでした。

花は朝がきれいだと母が言っていました。まったくそのとおりで、昨日友人の花屋で買い求めた八重咲きのバラは帰宅して生けたときより白い朝の光に当たっているときのほうがしっくりくるのでした。

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