「え、落語やってた!?って。面白そうだな、って思って採ったの」
あっけらかんと発せられたその一言に唖然としつつも、芸は身を助くとはまさにこのこと、と10年ぶりに胸をなでおろす私でした。その判断が正しかったかどうかはさておき、今彼女にビールを注いでもらっていることは一定の達成を迎えているということなのだろう、ここにいた意味は多少なりともあったのだろう、と思いました。
これからやりたいことがある、今いるこの場以上に行きたいところがある、というのはなんと素敵なことかと思います。「ない」よりも「ある」ほうが、厄介なことも多いけれどやっぱり素晴らしい。それはきっとすべてのもの、すべてのことについてそうなのでしょう。
世界は「ある」ことに寛大です。「ある」ことを軸に回っています。あることこそ正解なのだ、とかの大看板も遺しています。今は思ったことを何でもできる時代ですから、「ある」ならぜひそれを認めたい、そう思うのです。