だいたいポケットなんてあるからいけないのです。小物ばかりを放り込むものですから、がちゃがちゃと何が入っているかいつも分からなくなります。迷わないようポケットに入れたはずなのに、気がつくとポケットの中で迷子になっているのです。
それに、小物だからと油断してあれもこれも入れていると、いつの間にかその小物がかさばってポケットがパンパンに膨れ上がっていることもあります。おっここに小物を入れられるぞ、なんてアテにしていると「これはオシャレで付いているのだからものを入れては格好がつかない」とさえ言われてしまいます。
要は、ポケットにはものを入れるべきではない、ということのようなのです。じゃあ、ポケット要る?期待を持たせるだけ持たせておいて、肩透かしして。ないほうがいいんじゃないの?そういうことです。
「ぼくが旅に出る理由はだいたい100個ぐらいあって」
そこそこ空いている内回りの山手線は午後の日差しが眩しくて暖かくて、もう少しで着くのに目を瞑ってしまいそうです。目的地に到着した山手線を降りるとさすがに外は寒くて、私は思わず両手をポケットに突っ込みました。
