演劇ワークショップで、講師の堀越は繰り返しその言葉を役者にぶつけました。とても抽象的なその言葉をなんとなくその人なりに理解する役者と、よく分からないという顔をしながらとりあえず頷く役者がいました。何度か話を聞く限り、どうやら1つの感情しかセリフに乗っていない状態などが「浅い」ということのようでした。たとえば、「怒り」とか、「悲しみ」とか。
言われてみればそのとおりで、ほとんどの怒りには原因や理由、きっかけがあるのです。ただ怒っている人は神経系の病院に診てもらうほうがいいのです。文脈を切り取ることが仕事である役者には、その感情の背景までをちゃんと表現する義務があります。
それにしても、おもしろいなあ。人は1つの感情で動いていないんだ。いくつものことを考えながら笑ったり泣いたりしているのか。
私たちは思った以上に複雑で難しい生き物だということが分かりました。人は深い。これは大変だ。
