pigeon

表で鳩の鳴き声がします。鳩の鳴き声を「クルックー」と言いだしたのは誰なのでしょうか。そう聞こえたためしがありません。猫は「ニャーン」と言っていなくもないですが、鳩はまず「クルックー」と言っていません。

私が物心つくかつかないかといった頃に、母方の祖母は亡くなりました。熊本の家で母をはじめ親類がみな慌ただしく走り回っている中、訳も分からぬ私は砂利の敷かれた庭でひたすらひとりの遊びを続けていました。白くて平たい砂利はイカのお寿司、泥水はコーヒー。生垣の槙に実った身を片っ端から摘んで集めました。一人二役を演じたり、スコップを架空のお客さんに見立てたり、通りかかる親類のおじさんを捕まえようとしたり。

ままごとは日暮れまで続きました。私が飽きなかったのではありません、その他にすることがなかっただけなのでした。

鳩の鳴き声を聞くと、あの気が遠くなるような時間を思い出します。時間という概念すら奪うあの無間ままごとは静かな地獄だったなあ、と思い返す朝です。

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