私はなかなかの千葉びいきなのですが、千葉のもので一つだけ信用していないのはトマトの味です。
薄いのです、何しろ。酸い甘いではなく、それ以前に味が薄いのです。食べた気がしないというか、残り汁を飲んだような気分にしかなれないのです。
それに対して熊本のトマトは軒並み優秀です。しっかりした味もさることながら、頂に甘味の印の黄色い星をたたえています。大きなトマトもミニトマトも、口に含むとぱちんと弾けて食べ応えのある果肉と濃い果汁が口いっぱいに流れ込んできます。
私は熊本のトマトがとにかく好きです。子どもの頃はスーパーに行くと必ず千葉のトマトといかに違うかをひとしきり語って、母に熊本のトマトをねだったものです。熊本出身の母にしてみればまんざらでもなかったのでしょうか、概ね同意して、少し高い熊本のトマトを買ってくれました。
一人暮らしをしている今は、あまりトマトを買いません。いつからトマトはこんなに高級食材になったのでしょうか。昔からそうだったのかな。
スーパーで、いつもよりほんの少し安くなっていたミニトマトを買いました。さっと洗って、テレビを見ながら食べました。まあまあかな、と無意識のうちに批評している自分に気付き、子どもの頃の瑣末な記憶がふと蘇りました。
