Whiplash

大学で教えを仰いだ先生は私の関心の対象であるテーマを多く扱っていて、彼に教えを請うために入学したと言っても過言ではありませんでした。けれども先生は非常にストイックで、ある意味では非常に真面目だったのだと思います。
決して出来が良いわけでもない、そのくせバイトやサークルや、学問以外にうつつを抜かしていた私がストイックさを強いる彼のやり方についていけるはずもなく、すぐに私は落ちこぼれの烙印を押されました。メーリングリストで暗に揶揄され、叱責のメールが直接届き、授業の後に研究室へ呼ばれて3時間も責め立てられたのは人生で初めての挫折でした。

どうしてもレポートが書けず、それでも居場所はここしかないと思い込んでいた。そんな学期末、幸か不幸か人生初のインフルエンザにかかりました。40℃の熱にうなされる病床でとうとう折れた私は母に「もう学校を辞めたい」と泣きつきました。絶対に叱られると思っていたのに母はあっさりと「いいよ、もうやめな」と言ったのでした。母の目に私はどう映っていたのか、母はどんな気持ちでそう答えたのか、私には今も分かりません。

私は病床の一件以降、先生と一切の接触を避けました。私が不出来で不真面目であったことは今も恥じるばかりですし、私には先生を糾弾できるはずもありません。それでも、なんというか。

映画『セッション!』を観ていて、先生のことを思い出しました。
うまくやればその先には成功があったのか、その他に道はなかったか、あの頃私の目に映っていたものは本当にすべて正しかったのか。古傷が軋むような映画があるものだ、つくづく感心をしました。もう観ることはないと思います。

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