othello



やりきれない苛立ちを覚えるとき、いつも思い出すのは父とオセロをしていた幼少期のことです。父も手加減してくれてさぞや退屈だったでしょうが、それでも10年生きたかどうかの子どもが大人と対等に渡り合えるはずなどありませんでした。

私が取られたくない駒を必死に手で押さえていると、父は突然笑ったような怒ったような顔で口を真一文字に結び、オセロ盤をがしゃんとひっくり返しました。何度謝っても、その日父は「そんなことするのとはもうオセロしない」と一日中私に背中を向けていました。
盤返しと真一文字の口、背中。あの日の記憶はそればかりが残っています。笑ったような怒ったようなあの変な顔は、怒っても仕方がない、所詮大したことではないのだ、けれど納得がいかない、苛立ちが収まらない、そういう顔だったのだと今は思います。
一晩眠ればどうにでもなるはずだった苛立ちは思いのほか覚めやらず、これからどうしたものかと考えあぐねています。

コメントを残す