キノコの中でも、特に舞茸を選ぶときは慎重になります。当たるからではありません、「舞茸は見つけると舞い上がるほどうれしくなる茸だから舞茸というのだ」とどこかで聞いたことがあるからです。
見たことはありませんが、山中で舞茸を見つけて「ヒャッホウ!」などと喜び踊っているおじいさんを想像します。舞い上がるほどうれしくなるのだから、相当おいしいのに違いないのです。
それなのに、スーパーで叩き売られているくすんだ干からびかけの舞茸を適当に選んだのでは、そのおいしさを共有することがきっとできないではありませんか。私は「なるほど、これは確かに『舞茸』だわ」と端から見ればよく分からない、けれども分かる人には分かる小さな感動を余すことなく享受したいのです。
私は、同じスーパーの叩き売りの山の中でも、オンリーワンのハリツヤを醸し出す舞茸を慎重に選び出します。そうして作った野菜スープは、つたないながらも「なるほど、これは確かに『舞茸』だわ」と思わしめる旨味を持っているのです。
