初めて出展した文学フリマのブースでうとうとしていたら、気がつくと若いカップルが私の作った本を手に取って話し込んでいました。彼が「これは◯◯の川で、ここに高速道路が走っていて」と一生懸命話すのを、彼女が少し困りながらも笑顔でうんうんと聞いていました。
ひとしきりおしまいのページまで見終わった様子を見届けて、私は彼に「川、お好きなんですか」と尋ねました。彼はとてもうれしそうに「大好きです」と答えるので「よかった、仲間ですね」と言いました。「写真集で見るのいいなあ、僕もこういうの作りたくなっちゃいました」と彼は目を輝かせて言いました。あまり話し込むと彼女がさらに困りそうだったので、私は本を手渡すと「出来上がったら見せてくださいね」と言って見送りました。彼女は話が分からないながらも、いきいきと話す彼を終始楽しそうに見つめていました。
この本を作った意味は少なからずあったのだ、と思いました。また二人が来るならもう一度は出展する必要があるな、とカレンダーに印をつけました。
