帰り道、私の前を雨本くんに瓜二つの人が歩いていました。髪型、体型、服装やかばんの感じ、どれをとっても雨本くんでした。
でも直感的に「雨本くんではないな」と思いました。私の知る雨本くんはもう少し、本当に少し、背が高い気がしたからです。じゃあ雨本くんの背は何センチなんだ、と問われるとさっぱり見当がつかないのですが、違う、と思いました。雨本くんの背丈は私の目線が少し上がるぐらいだったはずです。
不意に、自分フィルターの存在に気付きました。何センチか、ではなく、自分の目線より上か下か。私の世界が私を中心に回っているというのは「やむなし」のことなんじゃないか、と思いましたし、背丈が何センチか言えるよりも赤の他人と見分けられるほうが情があっていい、と思いました。
