乳歯と永久歯、という言い方はどうにかならないものでしょうか。乳歯は乳歯というほどやわでもありませんし、永久歯は永久歯というほどしっかりもしていません。立派に何でも噛み砕く乳歯や道半ばにして抜けていく永久歯には、この名前はそぐわないように思います。
一人暮らしをするようになって6年、いろいろな人、いろいろな店と顔なじみになりました。奇しくも歯が生え変わるように、お世話になった店が畳まれ(あるいは去り)、友人たちが新しく店を構えはじめました。前者が乳歯だとも、後者が永久歯だともちっとも思わないけれど、まるで歯のようだ、と思いました。
大好きな人たちが去るにあたって寂しい気持ちは勿論ですが、受け入れるほかないのだろう、とも思います。
クラタさんという同級生のいわく、座右の銘は「来る者は拒まず、去る者は追わず」だということでした。私は、高校生にしてその言葉が座右の銘ではあんまりだ、と思いました。長年あの言葉が好きになれずにいましたが、気がつけば私自身があの言葉そのままになっていました。
来る者は拒まず、去る者は追わず。たしかに追いはしませんが、じめじめといつまでも思い出話をするぐらいはさせてほしい、と思います。
