Kunitachi books

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「国立文庫」というアートプロジェクトに参加してきました。街を文庫に擬え、その街に「収録」されている物語を集めて目録を作るという木村健世さんのプロジェクトです。

富士見台第一団地の前に店を構えるパン屋さんに飛び込み取材をしてきました。歳のわりにしゃんとした老夫婦が切り盛りしていて、店頭には惣菜パンや菓子パンが種類も豊富に所狭しと並んでいました。終戦直後、砂糖がまだ貴重だった頃に勤めだしたのは北海道の有名な洋菓子店。その後上京して大手のパン屋さんに転職、50年前に団地の完成とともに開業したのがこの店だったそうです。当時は夕方になるとこの通りも車の大行列ができるぐらい賑わってね、と懐かしそうに話していましたが、そんな話をする間にもパンを求めてやってくるお客さんがいて、50年間この地でパンを売り続けてきた歴史の一端を垣間見た気がしました。

おすすめはと尋ねると「ラスク」だというので買ってみました。100円ちょっとで、大きめのラスクが5、6枚、ビニール袋いっぱいに詰め込まれていました。かじってみると、なるほど、砂糖がたっぷりまぶしてあるわりにうんざりするような甘さはなく、ほっと顔がほころぶような味がしました。半世紀以上砂糖を扱ってきた職人の味でした。

国立だけでなく、きっとどの街にも文庫があって、人の数だけ物語もあって、けれどそれに目を通せる機会はなかなかないのだと思いました。とても味わいのある数篇の物語を読ませてもらったことで、私は国立という文庫に興味がわいてきました。

国立文庫を紹介してくれた友人の物語もずいぶんと面白そうです。また今度読ませてもらおうと思っています。

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