citrus rice

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一度か二度か、みかんご飯というものを食べたことがあります。愛媛の友人が「愛媛では給食に出る」とか言っていたような。

千葉出身の私もたいがいですが、愛媛の人も故郷への思い入れが強いように思います。ちょうどみかんのように甘味と酸味がぎゅっと凝縮されたような、愛嬌のある瑞々しい笑みをこぼしながら、故郷の風土を私に教えてくれるのです。

いつだったか、愛媛の郷土料理を囲んで飲んでいるうちにすっかり夜も更けて日付が変わってしまったことがありました。当時の私には毎度のことだったので歩いて帰ればいいやと思っていましたが、そんな私の首根っこを捕まえて「茶沢通りまで乗っていきなよ」とタクシーに相乗りさせてくれました。相乗り分のお代も受け取らず、手を振って茶沢通りを颯爽と去っていく黒いタクシーを見送りながら「素敵な大人だなあ」と感動しました。

いつかお返しをしよう、いつかお礼を言ってまた乾杯しよう、そう思っているうちにあの店は閉じ、私は引っ越し、そして今日、訃報を聞きました。

あの時はちょっと苦手だなあ、と思ったみかんご飯の酸味と爽やかな香りは、苦手なくせに時折恋しくなります。そしてみかんご飯を思うたび、鵜久森さんのあの粋な去り際を思い出すのです。

鵜久森さん、その節はありがとうございました。またお会いしたかった。

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