幸田文さんの随筆集を買いました。
期待、なんておこがましいですが、読んだこともないのに彼女の作品はきっと面白いはずだからいつか読んでみたいと思っていました。それどころか「私もああなりたい」なんて妙な親近感さえ覚えていました。
ばかでしたね。ばかでした。身の程知らずもいいところでした。まだ2本3本しか読んでいませんが、とても静かに吸い込まれる、丁寧で優しい、それでいて決して飽きないコミカルな文章でした。それは一見誰にでも書けそうな日常記に見えましたが、この文章を生業として書くということは涼しい顔で護摩業をするような、笑顔で空気椅子をするようなエネルギーを要する作業なのではないかと思いを馳せ、途方に暮れました。私には到底書けない素晴らしい作品だと思いました。
私が手に取った随筆集の編者である川上弘美さんは序文で幸田文さんを「ぶっ飛んだかっこよさ」と評し「幸田文に、会ってみたかった。」と記しました。私も本編を読み進みながら、改めてその言葉を噛み締めているところです。
私も、幸田文さんに会ってみたかった。けれど会うことも、その影に追い付くことさえかなわないので、せめていち読者になろう。そう思いました。
現在世田谷文学館で開催されている幸田文展に今週末行ってみようと思っています。
