髪を切りました。これまでお願いしていた美容師さんが海外に移住してしまったので、新しい街の新しい美容師さんにお願いして。
今はネガティブ男子というのが流行っているのでしょうか。新しい美容師さんは私より一つ下なのですが、卑屈というか、何も楽しいことがなさそうというか。若い子の話題にはついていけない、美容師は喋りながらいろいろ考えて切るのが大変だ、23区の人口ランキングはどこが上位でどこが最下位だ、とか。何が面白くてそんなランキングを調べたんだ君は。
気がつくと話題は髪の話ばかりになっていました。ここの髪にはこんな癖があるからこんな風に切ってある、ここはこうブローする、縦巻きだとこうなって横巻きだとこうなってリバースをかけるとこう。僕は美容師だからこうするけど普通の人にはできないと思う。できないやつかよ。
ああそうか、ネガティブ男子じゃないのか。彼の目には好きなものしか映らないのかもしれない。こんなことを言うのは失礼ですが、熱弁を振るう彼はまるでミニ四駆のパーツを一生懸命説明する小さい男の子のようでした。髪の話も、素人へのアドバイスの域をゆうに逸していました。美容師の仕事がとても好きなんだろうな、と思いました。
「ミニ四駆」の美容師さんは、何年もかけて伸ばしてくたびれ始めていた私のミディアムロングを2時間ちょっとで焦げ茶色のかわいいショートボブに仕上げてくれました。訳の分からない話を一生懸命話しながら。
ちょっと面白いので、これからしばらくはこの人にお願いしようと思います。新しい街にも少しずつ慣れてきました。
