うちの近所に住んでいた同い年の男の子で、じゅんちゃん、という友達がいるのですが。
私の家は隣町の工業地帯に勤める人々の集合住宅地で、過疎化が進む田舎町の中では子供の多い地区でした。一時の隆盛こそないものの、我が家の近所にも同世代の子供がたくさんいました。じゅんちゃんもその一人で、学校が早く終わった日なんかはみんなでよく遊びました。
じゅんちゃんはやんちゃな男の子の中にいながら心根の優しい子で、いつもニコニコしていましたし、男女問わず人の嫌がることはしない子でした。
いつだったか、ちょっとしたことがきっかけで私とじゅんちゃんは口論になりました。覚えていないぐらいですから、きっと些細なことだったのでしょう。ケンカの弱い私は早くも涙目で、もう何が何だか分別もついていなかったと思います。「うるさい、悪魔みたいな目をして」たぶん、私はそう言いました。
じゅんちゃんは先述のとおり優しい男の子でした。男女問わず話しかけていたし、面白いことを言ってよく笑わせてくれました。まつ毛が長く、特に下まつ毛が長くて目がくっきりぱっちりしていました。私は今見ても分かるように薄ぼんやりした顔立ちですから、そのぱっちりした目が印象的だったのだと思います。日焼けした小麦色の肌も相まって、「本で見た悪魔のキャラクターに似ているな」とどこかで思っていたのが、良くない形で出てしまったのでした。
その後の展開は覚えていません。じゅんちゃんが殴りかかってきたり逆上するようなことはありませんでした。けれども、その後に仲良く遊んでいた記憶もありません。遊んでいたとしてもどこか引っかかっていたんじゃないかと思います。記憶にもないことが、逆に忘れられずに喉の奥に刺さったままでいます。魚の小骨のように。
じゅんちゃん、いいやつだったのにな。ごめん。こんなところで独り言を言っても意味がないけれど。
私は今もなお懲りずに言葉で人を傷付けてしまいます。反省しても反省しても。それでもなおしゃべり続ける。もう二度と口を開くまい、と思った次の瞬間にはしゃべり始めている。業、ってやつでしょうか。
