「こんなに遠く離れていると 愛はまた深まってくの」と
(小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」より)
旅は道連れ世は情け、と言います。旅に出る時は人をどんどん巻き込むのがよい、世の人様にたくさんお世話になるのが旅である。今まで考えたことなんてなかったけれど、そういう意味なのかなあ、と受け取りました。
私は、旅が好きです。旅から帰ってきて「ただいま」と言うときの安心感が好きです。「家に帰るまでが遠足ですよ」校長先生はいいことを言うなあ、と今さらながら思います。
遠くの町には、知らないものがたくさんあって、見たことのないものがたくさんあって、一つ一つに感動します。普段会えない人と会うことも新鮮で、素晴らしいなあ、来てよかったなあ、と思います。
けれど何よりも感動するのは、住み慣れた、見飽きた町に戻ってきて足を踏み入れる一歩目の瞬間だったりするのです。「うわああ帰ってきたああああ!」と叫びながら大きく背伸びをする瞬間には、どういうわけか見飽きたはずの町が過去最高に美しく見えるのです。
先日、小沢健二コンサート「東京の街が奏でる」を観てきました。「ひふみよ」ツアーは日本に帰ってきたコンサートでしたが、ようやく小沢健二は長く濃い時間を過ごしたであろう東京の街に帰ってきたのだなあ、と思いました。楽しいこともいやなこともあった、見飽きた東京の街が、何だかんだ言っても彼のホームなんじゃないかなあ。そう思いました。
先週、笠間へ行ってきました。広くて静かで少し寒くて、その分優しく温かい町でした。背伸びをしたり、大の字に寝転がったり、深呼吸したり、本当に気持ち良かった。東京にはないものが笠間にはたくさんあったし、帰り道は名残惜しい気持ちでいっぱいでしたが、東京に帰ってきて、車がびゅんびゅん走る夜の国道沿いを一人で歩いているときにふと「ああ、帰ってきたなあ」と幸せな気持ちになりました。
まだ見飽きてはいないけれど、何だかんだ言っても、私は東京という町が好きなんだと思います。
