2月27日は下北沢のカレー屋さん・般゜若(パンニャ)の店長、井上さんのお誕生日でした。日曜日にたまたまお店の前を通る機会があったのですが、いかんせんおつかいの途中だったので後ろ髪をひかれる思いで通り過ぎたのでした。誕生日ならお祝いの一つもできればよかったなあ。
月末なので月曜、火曜とお店がお休みでお祝いに行くことはできません。Twitterでお祝いの言葉だけでも届けよう、と思って井上さんと般゜若のことを思い返していました。
店内に充満するスパイスの華やかな香り。すいすいと泳ぐように流れるBGMは原田茶飯事。余計な物や余計な音はなくて、静かですっきりとしている。こんにちはー、とお店に入るといつでも「わーおちけんちゃんだー」と笑いかけてくれる。せっせとカレーを作る背中を見ながら、漂うおいしそうな匂いにどきどきしながら、のんびり待つ。その間に友達がふらりとやってくることもあって、挨拶したり談笑したり。やってくるカレーはどこのものにも似ていなくて、さらさらだけどスパイスが少し刺激を与える。井上さんは常連さんや友達じゃないお客さんにも、別け隔てなくニコニコと「ありがとうございます」と言う。おいしかったです、と言うととてもうれしそうにする。うっすら滲んだ汗を拭いながらお代を払って、「また来ます」と言って帰るときの幸福感。
きっとただのカレー屋じゃないんだな、と思います。目の前で私のためにニコニコとカレーを用意してくれる井上さんを見て、「ああ、般゜若に来たな」と思うのです。あのお店では、「カレー」と呼ばれるものがお皿の上だけではない気がするのです。
私が好きなカレーはいつも、誰かの思い入れがあります。般゜若のカレーへの愛情とお客さんへの愛情がこもったカレー。いろんな友達と食べたカレー。母セイ子のカレーは小さな頃から私のわがままをたくさん聞いてくれた唯一無二のカレー。家族でいつもひと鍋平らげるカレー。カレーは思い入れが溶け込んだ分だけおいしいのだと思います。
井上さん、お誕生日おめでとう。またおいしいカレーを食べに行くね。
